待ちに待った日がとうとうやってきました。
前回のツアーから7年ぶり。ひょっとしたらもう、ライブはやらないんじゃないかという不安を抱えながらも、待ったかいがありました。
山下達郎のライブは今どき珍しく、ビデオやテレビなどの映像として出される事がありません。ツアーごとに、後世に残すため撮ってはいるようですが、どんなにファンが熱望しても見せてはいただけません。
音だけならばラジオやCDで聴くことが出来ますが。なので、どうしても歌っている本物の彼を見るには、コンサート会場へ行かなくてはならないのです。私も、かれこれファンになってから20年近くたち、もう何回もライブを見ましたが、いつもライブが始まってメンバーと達郎さんが出てくると「あ〜本物の達郎さんだあ〜〜〜」という、妙な感想から始まります。演奏が始まると、そんなのはふっとんでしまうんですけれども。
今回のツアーは、5か月間で48公演という、たぶん今までで一番長くてハードなものだと思います。福岡はもう最後のほうで、あと約1か月で終わるとのこと。にもかかわらず、達郎さんは絶好調という感じで、声も演奏もとても45才とは思えない素晴しいものでした。
ところで、ライブレポについてですがまだツアー中ということもあり、どうしても書くとなると内容に触れざるを得ません。これから行かれる方は(特に初めての方)以下のアドバイスを除いて、どうぞお読みにならないで下さい。
達郎さんのライブに行くときのアドバイス
1.山下達郎のライブは、とにかく時間が長い!最低でも3時間はあるので、始まる前に必ずトイレに行き、何か食べておくこと。それから、遠いところから来られる方は帰りの足、または泊まる場所を確保しておくこと。毎回、時計を気にしてアンコールの中泣く泣くお帰りになる方を見かけます。
特に、2daysの初日はセットのばらしがないので時間が長いようです。
福岡初日は約3時間20分でした。
2.ライブが始まっても、すぐに立つのは厳禁。盛り上がりもしないうちに立ってはいけません。これは達郎さんご自身ラジオで言っておられました。拍手や手拍子は大丈夫です。
3.常連の方はわかっておられると思いますが、演奏以外のキーワードは「クラッカー、拡声器、脚立」です。
4.大抵のライブでは6才未満のお子さんは入場不可ということになっていると思いますが、達郎さんのライブは子連れでもOKです。
前回の鹿児島公演では、ぐずる子どもをステージ上から達郎さんがあやしていました。
「子どもが泣いたぐらいでゆらぐようなステージングは、やってない」そうです。
それでは、ライブレポ行きます!
これから行かれる方は読まないで下さい。
ライブ当日は午後から仕事を休み、冬休みあけのテストでちょうど半日だった中1の娘と一緒にJRで熊本から福岡へ。いつもなら高速バスを使うのですが、アドバイス1でも書いたようにライブの時間が長く終バスに間に合わないため、今回は往復JRになりました。
娘は7年前のツアーの時はまだ幼稚園で、預けて行ったのですが今回は「動いている達郎さんが見たい」ということで同行してくれることになりました。
天神を回って少し買い物をし、軽い食事をとってバスで会場へ。
天神から臨時バスが出ていたので、ゆっくり座って行くことが出来ました。
5時半過ぎに着くと、すでに長蛇の列。サンパレスはコーネリアス以来ですが、年齢層が高いせいか皆さん静かに6時の開場を待っておられました。バスやタクシーで次々とお客さんが到着し、それを狙うダフ屋さんの声だけが妙に響いていました。
6時をまわったあたりで開場。今回は何故かあまりバッグのチェックも厳しくなく、すぐに入れました。席に着く前にコンサートグッズを購入。
私は達郎さんのライブの時は、パンフレットとあとはあまりかさばらないものを一つだけ買うことにしています。今回はギターの形のピンバッヂ1000円を購入。ちなみにパンフは1800円でした。
他にはTシャツやオルゴール、マウスパッド、マグカップもあったかな?
普通のCD以外に、ファンクラブで通販しているCD、それからCOZYのアナログ盤もいっぱいありました。開演まで30分しかなく、また会場が大きくお客さんも多いため、今までで一番グッズ購入が大変でした。
お客さんは結構カップルが多く、仕事から直接来られるのかスーツ姿の男性もたくさんおられました。思いのほか小さい子どもさん連れの方は少ない感じでした。立ち見の方もたくさん!私はファンクラブでチケットをとったので、前から6列目というたいへんよい席をとることができました。
ステージに向かって右側の、ちょうどPAの真ん前だったので娘に「音がすごいと思うので心して聴くように」と念をおしておきました。
それから「長いから、疲れたらみんな立ってても座っていいよ」とも。
客入れの音楽は、サンデーソングブック(達郎さんのFMラジオレギュラー番組)でいつも流れているようなオールディーズ(ちなみに客出しの音楽は、一人アカペラの「That's my desire」)。
以前、ムーンライダーズの鈴木慶一さんが「客入れ、客出しの音楽にも全部意味がある」とおっしゃっていたのを思い出し、達郎さんもきっとそう思って選曲しているんだろうな〜と思いつつ開演を待ちました。
本編とアンコール1回合わせて3時間20分、全23曲の熱演でした。
セットリスト
1.スパークル
2.デイドリーム
MC
3.ドーナツソング(「ハンドクラッピングルンバ」で拍手の練習(^^;)
4.ペイパードール
MC
5.群青の炎
MC
6.こぬか雨
MC
7.夏の陽(「ヘロン」をちょっとだけ)
8.風の回廊
9.潮騒
MC
10.Stand by Me
11.Close Your Eyes
12.In the Capel of dreams(10〜12は一人アカペラ)
13.煙が目にしみる(カラオケで)
14.ホワイトクリスマス〜クリスマスイブ
15.蒼氓
16.ゲットバックインラブ長いMC(メンバー紹介)
17.メリーゴーラウンド
18.レッツダンスベイビー
19.ラブランドアイランド
アンコール
1.パレード
2.ファンキーフラッシン〜硝子の少年〜ボンバー〜ファンキーフラッシン
3.ライドオンタイム
4.ユアアイズ
セットリストは、終演後のロビーに貼り出されてました(私はずっとメモしてましたが)。
バッキングメンバー
青山純(dr)伊藤広規(b)佐橋佳幸(g)難波弘之(kb)重実徹(kb)土岐英史(sax)佐々木久美(cho)三谷泰弘(cho)国分友里恵(cho)達郎さんはgで9.潮騒の時だけエレピを弾いていました。
10分遅れの6時40分に、達郎さんのアカペラのコーラスに切り替わりメンバーが次々と登場。今回のセットは、外国のリゾート地の一角で新しいアルバムの宣伝にちょっと来てやってます、という感じ。
ホテルやカフェのセットの明りがついたり消えたり、ステージ後方のスクリーンに映し出される風景も時間とともにと変わっていきます。
向かって左手の方には小さな噴水があって、曲に合わせて出たり止まったり。セットの壁にCOZYのポスターが並べて貼ってあるのもいい感じです。
1曲目のギターのカッティングが始まった時、毎回、高校生で初めて達郎さんのライブに行った時の自分に戻ってしまうのは私だけでしょうか?特に今回はバックをつとめるメンバーも、ギターの佐橋さんとコーラスの3人を除けばその時と同じで、音もおんなじ。
達郎さんとベースの伊藤さんは、楽器まで同じだと言われていました。
「ワンパターンも20年やればたいしたもん」と達郎さんはおっしゃっていましたが、こんなに長くやれるとは誰も想像していなかったと思います。でも長い長いというけれど、私にとっては「聴き続けてたらいつの間にか20年近くたってしまった」という感じでしかありません。
新しいアルバムが出来て来るのを待ち、またライブを待ち、こんなに待たす人もいないと思うけど(^^; 「ウソツキ〜〜〜」と思いつつ待ててしまう。何なんでしょう、これは?
今回のツアーは7年ぶりということで、達郎さん自身どれだけ出来るかわからないからライブのリハビリのツアーにしようということで、とにかく「ライブで自分がやりたい曲をやろう」と思ったそうです。
セットリストを見ればわかると思いますが、新しいアルバムの「COZY」からは2曲しかやっていません(「ヘロン」は他の曲の中で少し聴けましたが)。だから、昔からのファンにはお馴染みの曲ばかりだったと思いますが、若い方やまだ聞き出して間もない方にはちょっと?だったかもしれません。MCで「COZYはライブの事を考えないで作ったから」とおっしゃっていましたが・・・。でも、「次のアルバムはライブでやることも考えて作りたい」そうですので、あまり期待しないでまた待つことにしましょう(^_^)。そのせいかもしれませんが、全体を見て思ったのは、ほとんどコンピュータの匂いがしない演奏だったということです。
もちろん使われてはいるのでしょうが、それを全く感じさせないアレンジと音はさすがだと思いました。途中、一人アカペラのところなどどうしてもテープを使わなければならないところと、「煙が目にしみる」だけを除いて、全部圧倒的なバンドの音として聴かせてもらえてとてもとても幸せだったです。
以前と比べて、曲数が減ったように感じますがそのかわり一つの曲をじっくりと、達郎さんを含めて一人一人のメンバーのソロを聴かせるアレンジになっていた気がします。そして、なんといっても達郎さんの「声」。CDで聴くよりももっともっと輝き冴える彼の肉声はいったいどこまでいくんでしょう?声も一つの楽器なんだと、しみじみ感じさせてもらったライブでした。
演奏中で一番「カッコいい〜〜」と思うところは曲の最後シメの部分で達郎さん自身が手を上げるところ。これが合図となり、曲の終わりへと向かって行きます。これは何年たっても変わりませんね。
他のアーティストではあまり見かけないと思うのですが。
あのままあれを全部ライブアルバムとして出しても全然おかしくない、完璧なまでの演奏とノリ。「お客さんからやれといわれればいつまでもやります」と言っておられたので、身体が続くまでどうか素晴しいライブをいつまでもやってほしいと思います。
あとは演奏以外について。いつもの、演奏の時のストイックな感じとは全く違うMCですが、今回はよりいっそう磨きがかかっていました。
ラジオをお聞きの方はお分かりだと思いますが、早口でボケとツッコミを両方やって一人でウケて、私は初めてステージで彼のMCを耳にしたときはビックリしましたもの。毎回、容姿についてのお話をされますが(アルバムのジャケットを見て子どもが泣き出した、だのの話です)今回は特に、頭髪について。肩までの長さのいつも通りのヘアスタイルだったんですが、え〜とですね、額からだけではなく、上のほうからもキてたんですよお。最初目を疑いましたが、良く見るとやっぱり!!!7年という年月を感じた出来事でした。しかし、達郎さんがどんなヘアスタイルになろうとも、ファンであることに変わりはありません。
ご自分でネタにされていたので、あえて書かせていただきました。
服装は、いつもどおりスーツの上下で今回は濃いブルー。ネクタイはされていなかったと思います。アンコールでは、上を脱ぎ白のYシャツ姿に。いつもながらスリムなボディですが、お正月でより痩せてズボンが下がると言って上げるしぐさもMCのネタにしていました。
それから「Get Back In Love」のあとの長いMCでのこと。達郎さんがお話している間に他のメンバーが出てきて、セットの中にあるベンチ?らしきものやイスにすわってくつろいでらっしゃいました。
中にはステージ上で何か食べたり飲んだり、途中でお手洗いに行かれたメンバーもいらしたようです(^^;。皆さんすごくリラックスしていて、楽しそうでした。達郎さんからひとりひとりについて、最近の活動やら体調やらいろいろな紹介がありましたが、聞けば聞くほど「よくこれだけのメンバーをおさえられたものだ・・・」と思わざるを得ませんでした。
バッキングといいながらも、皆さんそれぞれその道では一流でありソロで前に立てる方ばかり。名前は知らなくても、音を聞けば「なんだ、あの人か」と納得するような方ばかりなのです。
確かに、達郎さんのおめがねに叶うような方々ですから、当然なのかもしれませんが・・・。
そのMC中に、立ち上がって外へ出るお客さんを達郎さんが発見!いつも実によくみておられて、「トイレですか?ゆっくりどうぞ。我慢すると良くないですからね。気持ちわかります」そして彼が帰ってきたら「おかえりなさい」。
会場にもこだわりがあるようで、いつも福岡は市民会館であり、達郎さん自身もとても気にいっていたようなのですが、今回は「市民会館でやるとなったら4日間やってくれと言われた」そうで、サンパレスになったそうです。以前から「自分の、マイクを通さない声が一番後ろのお客さんに届く会場でしかやらない」と言われていましたが今回は結構妥協した会場もあったみたいです。それでもチケットは即SoldOut。大阪、東京都内では8公演ずつあるのに、なかなかチケットが手に入らないという状況のようです。嬉しいですけど、なんとなくここまで売れてしまっていいのだろうか・・・という複雑な気持ちもあります。
こだわりといえば、マイクなどのシールド類も相変わらずこだわってましたね〜。絶対にワイヤレスは使わず、ずるずると線!をひきずりつつ歌って、ギターも線!をひきずりつつ弾く! ついでにいうと、ステージでの達郎さんは、めっちゃ落ち着きがないです。MCの途中でもマイクを握ってバラード歌う時でも、ギターソロで弾きまくるときでもいっつもウロウロ〜、ウロウロしています。あんまりうろうろするので時々「え〜かげん落ち着いて歌え〜〜」と言いたくなったりします(もちろん冗談ですが)。このあたりは全然、昔と変わりません。
今年はツアーが終わったらば、まりやさんのアルバムにとりかかり、出来れば年末に「On the Street Corner3」を出したいとのこと。
そして、できれば今世紀中にもう一枚新しいアルバムを出したいそうです。ま、無理だとは思うけど。
私としては、新しいアルバムが出ないでもツアーの方をやってほしいです。それも、出来れば今回のようなバンドを従えたものだけではなくアレンジを変えたアコースティックなものだけで、とか、R&Bのカヴァーものばっかりで、とか。例えば、民生さんの「ひとり股旅」みたいなのを気軽にぜひやってもらいたいのです。
終演後、またまた臨時バスで博多駅に行きJRで熊本に。帰りついたのは12時半過ぎていました。もっと早くレポートを書こうと思ったのですがうまく文章にすることが出来なくて、書きなおしばかりしていたらもう4日もたってしまいました。ほんとにいっつも長くて申し訳ありません。
読んで下さってどうもありがとうございました。