視聴者の皆さんが送ってくれたレポート! |
ここから開演までは割愛.いろいろ長いし.ただ,交通渋滞が激しくて直行バスが会場に到着するのが遅れ,開演時間がずれ込むというハプニングが.
そしていよいよメンバーが登場.Vo.のマサムネくん以外はハーフパンツというラフなスタイル.30分近く待たされた客席にマサムネくんが「お待たせ」と一言.「チェリー」でスタート.
イベントのいいところはアルバムの新・旧問わず様々の曲を聴かせてくれるところ.今回も新・旧・新・旧と交互に続くような曲順で,最近ライブでは聞かせてくれなかった名曲なども次々に飛び出して,実は昔の曲が好きな私としては嬉しい限り.特に「プール」「猫になりたい」「君だけを」なんて涙モノでした.
MCでは「今月で結成10周年です」に代表されるように,結構振り返り系というか,元々長崎はスピッツがブレイクする前からラジオをやってたりイベントをやってたり早いうちからライブもソールドアウトになってたりと思い出深い土地と言うことで「ずっと長崎には愛してもらっていて,愛されて愛されて・・・・」とかみしめるようにつぶやいていらっしゃいました.
髪を切り,ひげも剃ったマサムネくんはさっぱりとしていて,旅行もしたらしくリフレッシュされていて(しかし「あじさい通り」や「クリスピー」なんかで詞を忘れたり間違えたりするあたりは相変わらず),ベースの田村くんも片足あげたり勢いつけてステージ前方へと飛び出したりといつものように元気で,遠くからでも笑っているのがわかるギターのテツヤくんや,髪の毛を振り乱しながらドラムを叩く崎ちゃん,「あねご」の愛称で愛されている紅一点・サポートの明石さんなど,相変わらずのメンバーはやっぱり相変わらず最高のステージを見せてくれました.
みなさんは意外に思うかもしれないけど,スピッツは”夏バンド”なんですよ.夏っぽい名曲もたくさん(特に初期の頃)あるし.でも,夏と言っても「お日様ぎらぎら!夏のリゾート!!」って感じではなくて,なんだかだるくって扇風機の前から離れたくない午後やなんだかさえない夏の天気や夏の終わりのちょっと寂しい黄昏時とかを思い出させる曲がたくさんあります.もともと出不精な私はそんなスピッツの曲が好きなんです.
ファンの子が曲中でとばしたシャボン玉に心奪われながら,厚い雲を破って日が差し込んできたことに奇跡を感じながら,ひまわりやうちわが揺れる客席を見つめながら,時々私は胸がぎゅうっと押しつぶされそうになりました.目の周りが暖かくなってきて,鼻の奥がつんとしてきて,視界が何度も何度もぼやけていました.
ライブは曲順がわからないから,次になんの曲が来るかわからないから,私の心の小さな隙を狙ってすうっと入ってきて,どんどん心をついてくる(これはラジオで偶然スピッツの曲を耳にしたときも感じる).それが痛くて痛くてたまらないんです.
穏やかで,美しくて,はかなげそうで実は凛と強いスピッツの歌を聞くと,自分がすごく醜くて,つまらないように思えてくる.自分の悪い部分を責められてるような気持ちになってくる.こんな自分がスピッツの曲と向き合っていることがなんだか恥ずかしくも思えてくる.だから感動とは全く違う涙がこみ上げて来るんです.
自分の悪さを思い知らされるようなこんな気持ちになるのに,どうしてこの人たちの歌を聴きに来るのだろう,とよく思う.ひどいときは逃げ出したくなるくらいの気持ちになるのに.
でも,そんな気持ちになったあと,それに気がつけた自分やスピッツの歌に感動できることになんだか安心するんです.「まだ私も大丈夫かな」って.「そんなに私も悪くないかも」って.そこにいる自分が,なんだかすごく純粋でいられるような気持ちになるんです(”気持ち”だけかもしれないけど).
彼らの歌を聴いて,笑ったり歌ったり踊ったりして.共感できる気持ちをもててる自分が,なんだか今までの自分を浄化されたもっと新しい自分になってる気がする.だから,いつでもそういう気持ちになれる,もっときれいで純粋な人になりたい,って強く感じるんです.音楽の力ってそういうモノだと思う.音や声以外の何かをもらえるモノだと思う.
いつもマサムネくんはMCだととばしてくれて楽しいです.よく人の歌を歌ってその直後に自分で照れています.今回はともちゃんのデビュー曲や新曲(タイトルわかんない),デビュー曲に関しては小室さんのコーラスパートまで披露したり,前回のツアーのときに引き続き布袋さんの歌も歌ったり,アマチュア時代の未発表曲を一節聞かせてくれたり.
その”照れ”は普通のMCでもよく見られて,「みんなの愛を感じるぜ」と言ったあと,自分に合わないと思ったのか「愛を感じるっす」と謙虚に言い直したり,「愛の南風を送るっ!」と言ってみたり.前の方の席の子が「結婚してー!」とか「結婚するのー?」とか聞いてくると「最近結婚してるのかとかするのかとか聞かれるけど,してないし,まだしません.するときは言うけん(←長崎の方言)」とお返事.さらに「それとも結婚してくれる?」なーんていってくれたりとご機嫌ぶりはよく見て取れました.
アンコールは「ナナへの気持ち」と「バニーガール」.2曲って言うのが少なかったし,あんまり「ナナへの・・・」が好きではなかったので不満でした.でも「ナナへの・・・」でのマサムネくん加山雄三ぶりはなかなかよかったです(笑).
MCでマサムネくんは「これからも解散せずに続いていきます」って宣言していました.今まで彼の口から「解散」という言葉を聞いたことがないのでどきっとしたし,なんのための,なんに向けての宣言だったのかがすごく気になったりしてしまいます.今まで言ったことのないようなことを,何が彼に言わせたのだろう・・・どんな心境の変化があったのでしょう?
意識的にかと思ってしまうぐらい「インディゴ地平線」からの曲は少なく,今までの集大成のようなライブを見たような気がした.
結成から10年の今年,メンバーは全員30歳を迎えます.節目の重なる今年の夏のスピッツにふれられ,とてもよかった.明日からも,なんだかがんばれそう.そんな気がします.