今回は選曲がとても気に入った。ツボだった。 特に『C幼笛』(しーようふえ)から『ドラゴンフライ』そして『すすめ』。 偶然に対する賛歌『C幼笛』。
「偶然達に感謝しよう」というフレーズにまず軽く心を殴られた。『ドラゴンフライ』は蜻蛉(トンボ)の歌。ステージの後ろに据えられたスクリーンに懐かしい8ミリの映像が映し出され、歌詞の一部が視覚から入り込んでくれば、眼球が熱くなって、心から血液。
とどめは『すすめ』。
目の端から透明な水が流れ落ちて、完全に死体。 参った。参りました。泣けました。本気で。
他にも今回初めておろしたという『るるるるる』もかなり、相変わらず。「♪赤い血を吐く・・・」って来ておいて「女子高生〜♪」。「赤い血を吐く女子高生」そんなシチュエーション、頭に思い描いたらおもしろすぎて笑えない。
徳さんの「るるるるる」と繰り返される低いコーラスも、とても不思議な雰囲気でメロディーを彩る。 あまりにも不思議すぎたのか、客のほとんどが置き去りを喰らったようにぽかんとしていたのが、印象的だった。
曲の間、倉本さんは笑顔で私達に語りかける。「もっと声出そう。唄ったら気持ちいいよ。しやわせになれるよ、うん」「いつのまにかしやわせになってたり、ふしやわせになってたりするでしょ。今唄ったらしやわせを掴み取りできるんやで。こんなん、めったにない。唄っていこ」
「俺がしやわせ見せたる!」
人に幸福をあげるというのはとても簡単でとても難しい。 それを大胆にも豪語して、実際に実現してしまうのだから、この人は。 弦が吹っ飛ぶまでギターをかき鳴らし、会場を巻き込んで師匠は唄う。 誰もがいつしか笑顔で彼に声を合わせ、唄っていた。 誰もの手の中に、いつしか確かなしやわせが訪れていた。
アンコールを終えた師匠に花束を渡すと「ありがとう」と微笑まれ、ワタシはそれに慌てて「ありがとうございました」と返事をしてしまった。「お疲れさまでした」「また頑張って下さい」 今思えば、そんな気の利いた台詞のひとつも言えなかったことが悔やまれる。 けれど、その場ではもうその言葉しか見つからなかった。 いい歌をありがとうございました。
それを一番伝えたかった。
ワタシもいろんなライヴに行ったことがある。 けれど「三途の川を渡ろうとしている子供を呼んで引き止める」という内容の歌なんて聴いたことがないし、ましてその中でコーラスとして本気で「おーーい」と客に声をかけさせるなんて、そんなライヴは知らないぞ!?知らなかったぞ!! あなたも知らないでしょ?!
だから、知りに行きましょ!!(^^)
倉本美津留の曲は、本当に身に染みます。 小さなライヴハウスで堪能できるのも、今のうち!(だと思う!!) 何気ないしやわせを掴みに、是非行ってみましょうや。ね?(^^)
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